村髪BLOG

髪の毛に関する情報や、僕自身の想いを皆さんに届けます。

辞めたい理由は、ただの逃げだった。

もう、福島に帰りたい。。。

 

専門学校までを故郷福島で過ごし、都会に憧れた僕は就職と同時に上京した。本当はそのまま地元の福島で働くつもりだったが学校に届いた求人パンフレットにまんまと心を持って行かれてしまったのだ。

これといって野望や夢があったわけではなく、単なる都会への憧れって気持ちだけで飛び出した福島。当然、直ぐにホームシックに陥った。上京して直ぐに体調も壊したし会社の研修期間中もグロッキーだったのを今でも覚えています。めちゃくちゃお腹を崩しました。笑

想像以上の忙しさにおったまげた

東京での理容師デビューは想像を絶するものでした。とにかく忙しい!!!週末なんて特に頭の中が大混乱して怒られたばっかりいました。いや、忙しい事はとても有難い事で仕合わせな事なんだけど、当時の僕にはそれが全く理解出来ていなかったんです。正直、何でこんなにお客様来るの!!?

そんな調子でした。当時の僕に今の僕が説教してやりたいくらいです。でも、お客様が来てくれるのは本当に有難い事だと僕が心から理解出来る様になるまでにはもう少し時間が掛かります。理容師一年生の頃は当たり前に覚えなければならない事も多く不器用な僕は中々スムーズに事が進む事はありませんでした。沢山の失敗と先輩達からの叱責を受ける日々。メンタルもそこまで強く無い僕はもう嫌だ、帰りたいと本気で思うようになって行ったんです。

辞めようと思ったキッカケは、ただの甘ったれた逃げでしかなかった。

入社から3ヶ月程経った7月。僕は一年生だった事もありお盆に3日間の休暇をもらって上京してから初めての里帰りをしました。連休前日には気持ちがおだっていたのかまたミスを連発して怒られてた。でも帰省する時の新幹線の中でのウキウキ具合は堪らなく最高だった。久々の実家で食べる母親の料理。父親や兄弟と飲むお酒全てが最高!!!あっという間に僕の初めての長期休暇が終わった。

帰りたく無い気持ちを堪えて仕事始めの日の始発の新幹線に乗り込み、職場のある錦糸町のアルカキットの従業員通路を歩いている時に僕の気持ちは溢れた。泣いた。。。もう、辞めようと決めた。僕はそうすると決めたら直ぐにやらないと気が済まない質なので東京に帰って来たその日に上司に辞める事を伝えた。その理由がまた笑える。僕はなんて言ったと思いますか?

 

僕、歌手になりたいんです!!!

 

もう言われた方からしたら、はぁ?何言っちゃってんの?って感じですよね。

でも、その時に僕の話を聞いてくれた上司はそんな僕のふざけた理由を真剣に受け止めてくれたんです。そして、僕にこう問いました。

 

「もし、歌手活動する上で自分が歌いたく無いジャンルの歌を歌えと言われたらお前はどうする?」

僕はこう答えました。

「断ります」

 

恐らく、僕がどれだけ本気で歌手になりたいと願っているのか。その情熱の大きさを上司は確かめたかったんだと思います。そこで問いに対して断ると答えた僕は見透かされてしまった。

コイツは今逃げようとしているだけだ。

本気でどうしようもなく歌手に憧れ恋い焦がれ仕方ない程に目指したい夢だとしたら、例え本位と違う事を要求されても自分の理想の実現の為に努力をするのが当然。そんな事も受け入れる覚悟の無い人間がそれこそ歌手なんて絶対になれやしない。甘い。まさにその通りだった。

でも、それでも上司は僕のそんな甘ったれた夢を完全に否定はせずにこう言いました。

「もし、1年でスタイリストデビュー出来たら歌手を目指してもやっていけるんじゃ無いか?」(この条件はとても大変)

つまり、そのくらいの努力が出来ないと歌手になる事は出来ないよって事。

 

結果は、今の僕を見れば分かりますよね。笑

 

僕は人に恵まれていた。あんなチャランポランな言い訳をした僕を全否定せずに応援しようとしてくれた。あの出会いが無かったら僕はいっぱしの理容師にも人間にもなれていなかったかもしれない。

 

そして、そこからの東京での約9年半の月日は僕の事を人間として理容師として大きく成長させてくれる事になるのです。